鮮紅の稲妻

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光っていただけの空は稲光になっていた。 「やべぇなこれ…、落ちる前には帰れねぇ…、俺に落ちるかはわかんねぇが急ぐに越したことはねぇよな」 鈴梨はさらに加速する。既に5キロほど走ったにも関わらず息切れする様子もなく走り続ける。 しかし [ビシャァン!!] 「始まったか…、マジでやべぇな…」 ついに雷鳴へと進化した光は、雨を伴い一層激しく轟く 「問題はこの先か…」 今、鈴梨が走っているのは、木々が生い茂る道無き雑木林、そこをぬけると、広いグラウンドに出る。そこを横切る形で通過しなければプラス5キロの遠回りになってしまうのだ。 「行くぜ…」 鈴梨は走りながら覚悟を決める。 「うらぁっ!!」 雑木林から飛び出す鈴梨。雑木林からグラウンドに出るには、高い段差を降りなければならず。本来なら階段を使うのだが、今回鈴梨は無謀にも飛び降りる選択をした。 高さは20メートルはあるだろう。階段の事を考えれば坂もかなり緩やかなはずである。 しかし [ズシャッ!!] 驚異的なジャンプ力で長い坂を越え着地したが、若干前のめりなり前転二回で体制を立て直し勢いを殺さずそのまままた走り出す。 「あっぶねぇあぶねぇ…、これでだいぶ時間短縮だな…」着地を成功させた鈴梨だが、ここで空から光が降ってきた。 [ドゴォン!!] 間一髪よけた鈴梨。 「うおっ!?狙われてんのか!?」 鈴梨の言った言葉を聞いたのかはたまた偶然か、落雷は鈴梨だけを狙い降り注ぐ 「あたらねぇよ!!」 何十回もの落雷をギリギリの所でよける。大地は抉れ周りは穴だらけになっていく。 しかし [ビシャァ!!ドゴォン!!] 「ぐあぁぁぁぁぁぁあッ!?」 足がもつれ一瞬動きが止まった隙を、まるで待ってましたと言わんばかりに雷は鈴梨に直撃した。 奇跡的に意識が飛ばなかった鈴梨は未だ降り止まない落雷を辛うじてかわす。 その動きは徐々に人ならざるものへと変化しているのだが… 「案外…ハァ…おせぇ…よな…落雷ってよ…」 本人は気付いていないようだ。 「あと…少しだ…」 人間離れしていく体に体力が着いていかず、筋肉が軋み、悲鳴をあげる。それでも意地と気合で無理矢理体を動かし、かわす鈴梨だったが、ふらつく爪先がグラウンドの終わりを捉えた直後、鈴梨の視界が再び真っ白に染まった。
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