鮮紅の稲妻

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―――――鮮紅部隊――――― 鮮紅部隊の視界は砂煙で機能していない。 「やったか…?」 緑の服は地面に手を当て、煙が晴れるのを待つ。 「どうだろうな。アイツは普通の発現者とはかなり差があるからな、まだ生きている可能性が高い」 (一瞬、莫大な力を感じた…、杞憂だといいがな…) 赤服は光のロープを十本ほど出し、構える。 「必ず殺さなくてはダメなんですよね…」 ピンクの服は人差し指に電流を溜める。 「僕は防御に徹しますからね」 青い服は手を前に出し紫色の水を集める。 「みんなで構えなくても僕がいれば楽に終わるのに♪」 黄色い服は空に手をかざし力を溜める。 「あれなら坊やだって生きてはいまい。さぁ撤退するぞ…」 女が言い終わるやいなや。 「土の壁を!!」 赤い服が叫ぶ。 「ッ!?アースアーティスト…ッ!!」 緑の服は咄嗟に大地を隆起させ、壁を作る。 すると [ガガガガガガガガガガ!!] 壁を何かが穿ち、音が連なり轟音と化し彼らを戦慄させた。 「なっ…なにかな?♪この音?♪」 黄色い服は突然の轟音に溜めていた力を霧散させてしまう。 そして… [ズアァァァァァァァァァァ!!] 壁の外側を蒼と紫の光の群れが通過した。 「援軍か?」 赤い服の男は腕を伸ばし、ロープ全てに感覚を溶かす… 「ッ!?全員下がれぇぇぇぇッ!!」 [ドゴォン!!] 轟音を伴い壁が大きく揺らぎ大きくひび割れる。 刹那、赤い服の男がロープを使い周りの人間をハジく。 「全員を連れて逃げろ!!グリーン!!」 赤い服は、ひび割れていく壁から覗く炎を見据え、ロープを渦巻き状に発生させ盾を作る。 [ゴアァァァァァァァァァア!!] 崩れゆく壁の向こうから、絶望を運ぶかのような咆哮が5人を襲う。 「く…!!生きて帰れよ!!」 緑の服は大地でドームを作り地下へと全員を逃がし自分も入り穴を閉じた。 「約束はできんな。だが、あの炎の正体と発現者は突き止めよう…」 そう言って赤い服は盾に乗り、 「シャイニングスプリング。」 限界まで縮めたバネを自分の足裏に発動させ、 「ふっ!!」 空高く跳ねた。 跳ねると同時に壁は崩れ、真紅の龍が先程まで赤い服がいた所を通過した。 「龍…。紅い龍か…。発現したのは覚醒者の少年…、フッ…」 赤い服はロープで足場を作りバネを縮め… 「マナが不足しているのか…、まぁ…精々俺を楽しませろッ!!」 一直線にガス欠の鈴梨へと向かった。
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