鮮紅の稲妻

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――――――鈴梨―――――― 「はぁ…はぁ…っは…はぁ…」 鈴梨は、その場に立っているのがやっとで、自分の出した龍の力に茫然としていた。 「くッ…、俺の氷がここまで溶けるとはな…、恐れ入ったよ。」 鈴梨が紅龍を発動する直前に、京一はポルメリオと自分を分厚い氷で覆い、紅龍の余波を遮断した。しかし、紅龍の熱に耐えきれず、氷は殆ど溶け、残り3ミリ程になっていた。 「圧倒的な威力だね☆これは即戦力だよ!!☆きょうちゃん!!☆」 大はしゃぎのポルメリオ 「その話は後にするぞ。アイスアーティスト!!」 京一は、空の一点を見つめ、氷のドームを作りポルメリオと鈴梨を囲む。 すると [ビギシィッ!!] 分厚い氷の壁に亀裂が入り、 [バコン!!] 割れた。 「やるな…隊長さんよ…」 京一の右手に氷が集まって行く。 「漆黒の氷奏者か…、面白い…、だが、先に少年を始末させてもらう!!」 隊長と呼ばれた赤い服は光を集め刃のように薄くして、鈴梨に斬り掛かった。 [ギィィィィン!!] 「すんなり通す訳にはいかねぇな。」 京一の右手に出現した氷の剣が、赤い服のロープを受け止めていた。 「自分の手を媒介に刀を精製か…ますます面白い!!」 京一の手は、剣と同化しており、肘近くまで氷で覆われている。 「緑の奴もできるだろうさ!!」 言い終わると同時に赤い服の剣を弾いて懐に入り、氷剣を横に薙いだ。 「ぐッ…」 赤い服は傷を押さえよろける。 「そんなドジは踏まんさ!!」 声と同時に赤い服は京一の背後から斬り掛かってきていた。 「質量のある残像か…やるな…」 しかし、それを難なく受け止め、流す。 「こいつッ!?ぐぁッ!?」 赤い服が剣を構えるより速く、蒼白く光る短剣が赤い服の両腕を貫通し木に刺さった。 「よく俺に当てなかったな、新人…」 京一は腕に纏った氷を溶かし、手の感触を確かめるように動かす。 「あんたは下がってな!!まだまだこれからだぜ!!」 意識が朦朧としていた鈴梨の隙をついて厨二が理性を突き飛ばした。 「グングニル!!」 青白く光る刃を展開し斬り掛かる。
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