夢の中で逢った、ような‥

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  休み時間になれば 彼の周りに沢山の生徒が集まる 「前はどこの学校だったの?」 「肌すごい綺麗だよねー」 取り囲んでの質問責め 軽く受け答えをするも 急に一言謝罪の言葉を口にし席を立つ 「ちょっと緊張したみたいで気分が悪くて‥保健室に行かせてもらえる?」 「大丈夫?俺連れて行こうか?」 片目を覆うように手を当て 本当に辛そうで 話していた子たちが連れて行こうと 声を掛けるも 係の人に頼むと言って 増田の所へ歩み寄り 「増田貴久‥キミ、保健係だよね。保健室連れてってもらえるかな」 「え?うっ‥‥うんッ、もちろん‥」 二人で教室を出て歩き出し やはり考えてしまうのは なぜ自分が保健係だと知っていたのか 「‥こっちだよね」 「うん‥そ、そうだよ」 保健室の場所も知っているのか 案内するはずが 逆に案内されているようにも思える 「あ、あの‥‥山下、クン‥?」 「なに?」 話し掛けたのは自分だが なんで知ってるの?なんて 怖くて聞くことが出来ず 「僕と山下クンって、前にどこかで会った‥かな?」 「ッ‥?!」 増田の一言で 一瞬目を見開き足を止め 意を決したように 踵を返して振り返る 「増田貴久‥キミは、家族や友達のこと大切だと思ってる?」 「え‥‥?」 急に問い掛けられた 当たり前のような それでも奥が深いような質問 「‥もちろん、大切だと思ってるよ?家族も友達も。みんな大好きだから」 真意は見えないが 自分はそう思うから‥ 「‥‥そう、なら忠告しておく。その気持ちが本当なら‥この先なにがあっても"今の自分を変えよう"とか思っては駄目」 でなければ大切なモノを全て失い 取り返しのつかないことになる そう言い残し 保健室へ入っていく山下 「山下クン‥‥?」 その言葉がナニを意味していて 何故自分に言われたのか 後ろ姿を見送りながら考えるも 答えなんて見つかることはなかった  
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