*彼が私を借りた理由*

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カチャッ 「………………んっ」 あれ…今、何時だろ? 「8時………8時っ!?」 ヤバい、8時って図書館の閉館時間じゃん! さっきのカチャッって音は鍵の音かな… 「どうしょ…」 「ホントだょね」 「へ?」 フッと横を見ると私の隣であの男の子がこっちを見ていた。 「な、何でとなりに!?」 「いや、アンタが座ったんでしょ?」 いや…何で一緒にいるのかって意味で! 「あの…いつから起きてました?」 「ちょっと前ぐらい。」 どーして起こしてくれないんですかぁぁぁ!? 雨はすっかり止んでいた。 あのまま寝ちゃうなんて… 「ねぇ」 「は、はぃ!」 「いつも図書館にいるょね?」 あ…知ってたんだ。 「名前は何て言うの?」 「あ…佐倉苺湖です。苺の湖って書いて[いちこ]って読みます」 「ふーん…………じゃぁ[いちご]ね」 え、いちごって呼ぶの? 「えっと…あなたのお名前は?」 すると彼はニッと笑って右肘をついて頬杖をついた。 「いちごがさっき俺の名前言ってたじゃん」 名前………って… 「掛飛颯太。おれの名前」 えええぇぇー!!やっぱり掛飛颯太!! あ、幸せの本の5巻……… 「あの、幸せの本の5巻は何で途中から借りたんですか!?」 「いちごさっきから興奮しすぎじゃない?俺たち今、閉館した図書館にいるんだょ?」 こ、興奮って! そういえば... 私達外に出れないんだった。 「あぁ、どうしょぅ」 あれ?何で掛飛颯太さんは帰らなかったんだろう? 「あの………」 「はぃ?」 「どうして帰らなかったんですか?」 どうしてだろう… 「知りたいの?」 知りたい……… どうしてですか?
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