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大きな駅から流れて来る人の群れ。
もはや、カップル、カップル、カップルの群れ。
飾り付けられた街路樹や駅の広場を感慨深く眺める暇さえないままに
人の群れの中を神坂と二人、猛スピードで駆け抜けた。
「ちょっ…マジ、こ…神坂っ」
「喋んなって」
「だって…あのっ」
「……ほのか、もう無理な訳?」
突然、神坂が予告もなしにその場にぴたりと立ち止まる。
当然、あたしは法則に負けて神坂の背中に体当たりした。
「あ、痛たたっ」
「もう走れないならしょうがないよな?」
「う、うん、ごめん……」
最後まで言葉を言わせてもらう事もなく……
あたしの身体は宙に浮いた。
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