一章

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「はい!」 …これが母上との最後の会話だった。あの日の言葉通り、母上は桜の如く儚い想いを抱いて、眠るように亡くなった。 当時10歳だった私は母を亡くした悲しさと、寂しさで涙を流した。 城の主である桜野浅井(サクラノアサイ)は、妻を亡くした悲しみから、日ごとに壊れていくように見えた…。 -五年後- 「浅井様、お客様がいらっしゃいました」 「さくらか…。通していいぞ」 「ごゆっくり…」 浅井との関係はよくわからないが、何やら真剣な顔で話しているところを見ると、訪ねてきたのは友人のようだ。
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