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「苦手ならわざわざ本気で避けようとはしねぇだろ。ほら、中学んときだって…」
「ちょ…ちょっと優!?そういうことは言わないでって、まえにも言ったのにっ。それにやっぱり、私、男のひとキライなんじゃないよっ」
意地悪く口角をつり上げる優は、さらに慌てふためくかすみの反応を楽しみながら、ひとの疎らな廊下を進んでいく。
まだ無人の教室のドアを開けながら優が言った。
「へぇ?根拠は?」
するとかすみはきょとん、とした目で優を見上げ、ドアをくぐるとおもむろに言葉を紡いだ。
「だってかすみ、優はこわくないもん。優も男のひと…でしょ…?」
その一言に、優は思わず、自分の席の椅子を引く手を止め、切れ長の目を大きく見開いた。
「…夏樹と颯は?」
「?夏樹も颯…もこわくはないよ?でも、いちばん安心するのは優なの」
かすみがそう言って微笑むと、優は椅子に腰掛け、視線をかすみから外した。
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