魔法少女まどか☆マギカ異聞 ~序章~

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辺りは相変わらずの瓦礫の山、その中を淀んだ冷たい風だけが吹き抜けている。 ただ一つ違っていたのは、先程までそこに当たり前のように存在していた、ワルプルギスの夜の姿が消えていたことだった。 その時ほむらは、全てを理解した。 また、自分は救えなかったのだと…… たった一人の、大切な存在を救うことができなかったのだと…… 「まどか……」 ほむらの目から、涙がとめどなく溢れてくる。 それは彼女の頬をつたい、温かく美しい雫となって、埃にまみれた瓦礫の街に、ぽつりぽつりと落ちていく。 破壊され尽くしたこの廃墟の街にあって、それこそが唯一の美しいものであった。
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