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青年にチップを渡そうとしたが結構ですと言われたので何もせずにエレベータから降りた。
俺が降りるとそのドアはすぐに閉まり上の階へと昇っていった。
本当にそのドア以外はなにもないただのコンクリートに覆われた空間に圧倒されて心拍数が上がっているのがわかる。
いったいこの先にはなにがあるのか?
なにをされるのか?
どんな人物が立っているのか?
俺はドアを二回ノックすると、'入ってくれ'と言う声が聞こえてきたのでゆっくりとドアノブを回しドアを開けた。
するとそこはただっ広い一室なっていた。
おそらく、いくつか部屋はあったのだろうがぶち抜いてひとつの部屋にしたという感じで、部屋の中の壁という壁がすべて白く塗られ蛍光灯の明るい光を反射させていた。
それから、その部屋の真ん中には真っ黒のテーブルとイスがおいてありそのイスには老人が座っていた。
そういった光景が俺にタイトルは思い出せないが何かの映画のワンシーンを思い出させた。
『おはようございます。』と俺は丁寧に挨拶をした。
『あぁおはよう。ところでキミ、顔色がやけに悪いが、大丈夫かね?』
それはよく見ると年齢は50代、髪の毛には白髪が多くある、おそらく黒く染めているのだろうが髪の毛がもうそんな抵抗をしても無駄だと語っているように見える、肌の色は浅黒く、どこからどう見ても健康的な体つきをしている老人だった。
『ええ。大丈夫ですよ。顔色が悪い理由は、私にはちゃんとわかってるし、説明してくれと言われれば説明しますが、それにはかなりの時間がかかってします。それに時間を掛ける割にはおもしろくない話になります。ですので今はこの書類にサインをお願いします。』
そういいながら俺はカトレアと自分の住んでいる国ベガとの条約を結ぶために持っていた書類を渡した。
少し考えてみると俺は目上の人に対しては、いつでも適切な対応をとっていると思う。
ちゃんと《俺》では無く《私》と言うし相手の時間のことや体調のことなどを考えて、適切な判断をしてその状況にあった行動をしているつもりだ。
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