第二話

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その音を俺が聴いたのは午前3時45分だった。 ---------------------------- 携帯電話の着信音が鳴り響く。 自宅のベッドで寝ていたためにその電話を取ろうかどうか迷ったが、SOULDから支給された携帯電話だったので俺はしぶしぶ携帯をとった。 『はい。こちら衣川白氷ですが・・・。』 『あぁ。悪いねこんな夜遅くに。急かもしれないけど今すぐ本部まで来てくれないかな?僕の話は理解できた?』 それは上官の声だった、たしか名前はロバート・ゲラーだったと思う。 というのもSOULDと言う組織はスパイ組織でもあるため基本的に仲間と接触する機会が少ないのだ、というよりほとんど無いといってもいいくらいだ。 そのなかで唯一出会うことがあるのが俺に命令を下す上官で、その上官でもいつもはこういった電話やメールで連絡を済まされるので直接会うという機会は少ない、だから名前もだったと思う・・・と曖昧なのだ。 『今すぐですか?』俺はわざとけだるそうにそういった。 『うん。そうだね今すぐに来てほしいんだ。それとこっちに来たら少しの間家には帰れないと思うから自分が必要だと思うものは自分で用意しといてね。』 それにしても、この男は上官なのになぜこんな話し方なのだろう、威圧感もないしそれに上官だと思わせるような態度も無い。 『はい。それでは今から30分以内に着くようにします。』 『15分に出来るかな?それじゃぁね、いつものとこでまってるから。』 ゲラーは質問してきたのにもかかわらず俺の返答をまたずに電話を切った・・・・・・・先ほどの言葉は撤回しないといけないな。 俺は財布と鍵と携帯をポケットに入れリュックには2,3日分の着替えを入れて、歯を磨き家をあとにした。 今はまだ2月でとても寒い、今からバイクに乗って本部へ向かうと考えただけで体が芯まで冷えそうだ。 何もかもを支配しそうな闇の中で俺はバイクにまたがり本部へと向かった。 それよりも一体なんだというんだ、こんな時間から行かなければ駄目なことなのか? 俺はまだSOULDに入ってから2年しかたってないしそんな重要な任務ならもっとベテランのやつにまかすだろう、めんどくさいことにならなければいいがと俺は少し不安になった。
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