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いくら神と言えど、私とは違い人型である。
天なら違うのかもしれないが、人の世では人と同じ身体。
身体能力は高くとも、腹を刺されてまともに立てるはずはなかった。
男はゆっくりと身体を横たえる。
その影から出て来たのは、先ほどの小娘。
私の姿を確認し、ぱっと表情を明るくした。
そして照れくさそうに笑い、男の身体を蹴り、仰向けに転がした。
ぜえぜえと吐かれる生臭い息が不快だったのか、顔をしかめつつ、手にしていた短刀を胸に突き刺した。
慣れた手つきで綺麗に胸を裁き、内から取り出したのは、未だ脈打つ心臓。
それを持ち上げ、大きな葉に溜まった雨水を飲むように、口に含んだ。
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