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騒がしい足音が近づいて来た。
シャキ、と鉄の擦れる音。
「――大蛇よ、覚悟!」
カッと目を開けば、そこには天の光を反射する鋼。
私は反射的にするりと退いた。
全ての目でしかと確認したのは、男の敵意に満ちた目と振り下ろされる剣。
思考よりも本能が先んじた。
八つの頭全てが口を開き、男に噛み付かんとする。
牙が先か剣が先か。
五分五分と言ったところか。
そう思った瞬間。
男の腹に、赤に染まった鈍色の光が覗いた。
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