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大丈夫だからもう少し食べて、って眉を下げた哲も、あまり食べなかった。
食欲がないのは確かなんだけど、あんまり、あからさまに食べられないのを見せるのは、ちょっと心苦しい気がして。
哲が出掛ける前に、無理矢理、生ハムのサンドイッチを、かじった。
言えなかったけど。
ヤバいんじゃないか、って内心焦るくらい、味がしなかった。
ラップをかけた、残りのサンドイッチを、見るともなしに眺めていた時に来た、Eメールは。
真ちゃんからの、“大丈夫か?そっち行くか?”なんていう、簡素なもの、だった。
ああ、そう言えば真ちゃん知ってるんだっけね。
今、哲がいない理由。
私は、大丈夫、と一言だけ返して。
込み上げた涙に、慌てた。
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