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「…………何なくなってた」 哲の声が、変わった。 次に会った時には、絶対に殴る、と。 今さっき、怒りにも似た思いで唇を噛んだけれど。 哲の声を聞いていると、再びじわりと恐怖が湧き上がる。 私、哲に言いたくない。 きっと、怒ってくれちゃう。 アイツと、ハッキリもめるわけにはいかないんだから…知らない方がいいに決まっ…… 「蜜!!!」 「………っ…ゆ…郵便物と………し…下着!」 強く揺さぶって怒鳴った哲の声が怖くて。 やだ、そんな声で呼ばないで。 怒んないで…怒んないでよ! ちゃんと、何とかするから! 私がちゃんと、何とかする!! 「…あ…んの野郎…ッ」 やめて、やめて! 駄目だよ哲! 哲が怒ったら… 哲が狭山工販ともめたら… みんな困るよ!! 狭山工販から仕事が来なくなったら… だってウチの仕事の半分は、あそこからなのに…! .
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