1018人が本棚に入れています
本棚に追加
「…………何なくなってた」
哲の声が、変わった。
次に会った時には、絶対に殴る、と。
今さっき、怒りにも似た思いで唇を噛んだけれど。
哲の声を聞いていると、再びじわりと恐怖が湧き上がる。
私、哲に言いたくない。
きっと、怒ってくれちゃう。
アイツと、ハッキリもめるわけにはいかないんだから…知らない方がいいに決まっ……
「蜜!!!」
「………っ…ゆ…郵便物と………し…下着!」
強く揺さぶって怒鳴った哲の声が怖くて。
やだ、そんな声で呼ばないで。
怒んないで…怒んないでよ!
ちゃんと、何とかするから!
私がちゃんと、何とかする!!
「…あ…んの野郎…ッ」
やめて、やめて!
駄目だよ哲!
哲が怒ったら…
哲が狭山工販ともめたら…
みんな困るよ!!
狭山工販から仕事が来なくなったら…
だってウチの仕事の半分は、あそこからなのに…!
.
最初のコメントを投稿しよう!