出来損ないの恋愛

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気が付かなかっただけかも知れない。 椎名が言った様に、水谷の言葉に答えようと突っ走ってたあの頃こそ、水谷に恋をしてたのかも知れない。 ただの、憧れじゃなくてきっと恋だったのだろう。 寝室のベッドに座り込んで、そんな事を考えてた。 「何考え込んでる?」 振り向くと、水谷が心配そうに立っていた。 「あ、新一置いてきたから寂しいんだろ?」 少し笑いながらそう言った。 「そうじゃ無いって。」 あ・・でもそうかも・・それも有るかも・・・ 「大丈夫さ、あいつはしっかりしてる、そう仕付けたのは、結衣じゃないか。 自信ないのか?」 「そうだね。なんかさ時間がワープしたみたい。 ここへ来たのが、昨日の様に思える。」 「そうだなぁ。色々回り道をして来たし、そうさせてしまった。」 「15年もこうして、茂樹さんの傍でこうやって甘えっぱなし・・・」 「甘えてなんかないさ。 結衣は精一杯色んな事をこなしてきたし、今だって・・」 「でも、時々どうして私がここに居るんだろうなんて考える事が有ってね。 普通の恋人同士みたいな時期の思い出無かったしさ・・」 「僕は、ずっと結衣の事想い続けてたけどね。 傍には居られなかったけど、結衣の事を想い続けてた。」 やはり、椎名と同じ様な事を言う。 でも、何なんだろう? この不安の様なものは・・・ 椎名の事だろうか? いや、そうじゃない。 「結衣は今のままでいい。 いや、十分過ぎるぐらいさ。 もっと、手を抜いていいさ、 結衣のお陰で、あんなに小さな診療所が 看護師40人も居る立派な病院に成った。 結衣の優しさが皆に伝わって、こんないい雰囲気の病院は、他にはないさ。」 「茂樹さん、誉めすぎ。 ここが、こんなに変ったのは、茂樹さんが良い医者だからよ。 私は、手伝っただけ・・」 「いや、結衣は今でも有能な看護師だ。 なのに、こんな所で・・」
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