こっくろーちんぐ

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 数分後、ゴキブリなのだから着る服のないゴキ子にエプロンを着せて、俺は実に3年振りに台所に立った。  思い返せば、高1の時の家庭科以来何かを料理した記憶がないな。  カップ麺とコンビニ弁当があれば生きていけるし。 「ではでは!ちょーっと冷蔵庫の中見せてく・・・」  そんなことより、今はゴキ子の裸エプロンの方が大事だ。  今の内にしっかり網膜に焼き付けないとな。 「あ、あの~・・・」  良い具合にこちらにお尻を向けたまま、ゴキ子は中身なんて缶ビールしか入っていないはずの冷蔵庫から何かが入った袋を取り出した。  あ、そういえば、引っ越し祝いとして貰った物を食べるの忘れてた。  ついでに、冷蔵庫の電源も入ってないな。  最近蒸し暑かっけど、まぁいけるだろ。 「これしかないんですか?これ、私達はともかく、人間が食べたらお腹壊しますよ?」 「いけるって。とりあえず1品目はそれね。後は・・・食うもんないなぁ」 「どうやって生きてくつもりだったんですか・・・仕方ないですね、ではでは・・・」  そう言うと、ゴキ子はエプロンをめくってしゃがみ込んだ。  おいおい、こんな所で一体何のプレイを始めるつもりだ?  この話を少年少女が読めなくなっちゃうじゃないか。 「はい、完成です!」  さっきよりもさらに網膜に刻み込もうと目を見開くと、そこには嬉しそうに笑うゴキ子とごちそうが並んでいた。  一体何が起こったのか分からないが、とりあえず俺の網膜には何も刻まれた。  チクショウ、もう少しで見えたのに。 「どーぞ、召し上がれ!もう、ダメですよ?ちゃんとしたもの食べないと、お腹壊しても知りませんからね?」 「ああ、うん・・・いただきます」  テンションはがた落ちになったが、何はともあれ久し振りのまともな食事か。
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