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バイクを降り、耳を澄ます。ダークスーツが窮屈で仕方無い。
「へい、こちらシド。異常無しです」
小型の無線からの確認。
一体何度目だか。
確認しても、起きるものは仕方無いだろうに。
だが、一応真面目に答える。
「ドーチェ氏が教会に入られた。外の護衛を頼んだぞ」
「はいはい、了解」
俺はそのままバイクを走らせ、駐車場へ向かった。
数えるのが億劫になりそうな数の車。
高級車は、間違いなくお偉いさん方達のもの。
「そろそろか……」
情報屋から貰った情報を思い出す。
ミサ開始が午後3時。もうすぐ、その時刻だ。
高級車の数からしても、お偉いさん方達も揃っているだろう。
勿論、歓迎されない参列者も居る。
「さぁて」
バイクをテキトーな場所に止め、スタンドを立て、ダークスーツのジャケットを脱ぎ、ついでにネクタイも取ると、ラフないつも仕事をする時の恰好になる。
携帯を取り出すと、ある番号、情報屋へ電話を掛けた。
「もうすぐだぜ?」
「ほぅ、相変わらず速いな。まぁ、待ってるからな」
テキトーに憎まれ口を叩き、電話を切る。
準備は整った。
いつでも堕ちて来いよ、『片翼の堕天使』。
『銀の死神』が、さらに深い所まで、叩き落としてやる。
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