狂乱の宴。

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  †   「記念すべき今日、ここに集いたる者に主の愛を」   司祭が声高に言うと、グラオーグを見る。 そして、おもむろに両腕を広げた。   「そして、この国に新たな風を!」   司祭の周囲に集まっていた者達が、、グラオーグに銃口を向けていた。   一瞬の沈黙の後、蜂の巣を突いたような騒ぎになる。   「全員、静かにしたまえ」   銃声と共に、声が響く。 撃ったのは司祭だ。   「流石に驚きましたか?総指揮官殿」   カチリと撃鉄を上げ、銃口をグラオーグの眉間へ向ける。   「何が望みなんだね?」   多くの銃口が自分に向いているというのにも関わらず、グラオーグは落ち着き払って逆に問い返していた。   「…………」   予想外の落ち着き振りに、司祭は一瞬戸惑う。 教会内はいつ切れるか判らない、怯えの沈黙が流れている。   「……そうですねぇ」   司祭は嫌らしい笑みを浮かべ、教会内を見回す。   「まずは、私達『片翼の堕天使』の存在を世の皆さんに知って頂く事でしょうか」   銃声が響き、悲鳴が上がった。   「……彼等に罪は無い筈だ。何故撃った?」   グラオーグが、飽くまで静かに訊く。 撃たれたのは扉に一番近い、男性の参列者だった。 血の飛沫が周囲の参列者に掛かり、沈黙を破った。
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