狂乱の宴。

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†   カツコツと薄暗い納骨堂の地下に靴音が響く。 気配と微かに聞こえてくる悲鳴で、奴らが動き出した事が判った。   「ん?」   俺は耳のピアスを弾く。   前方に目的の所が見えて来た。   地下はおよそ5階。昔の名残を強く残していて、土壁に横長の穴が掘られ、そこに骨を何体も無造作に納めている。   おそらく、今の教会は入口という入口が固められ、侵入困難だろう。   ある場所を除けば、だが。   そこは事前に、情報屋からのものと、自分の目で確かめていた。   昔の人々は、死者が常世で困らぬように、裕福であるようにと貴金属や宝石を一緒に棺桶の中へ入れて弔った。 勿論、死者に宝石や貴金属なんて必要ない。 それを自分の収入源として生計を立てていた者達が居た。 彼らは埋葬された棺桶を掘り起こし、中の宝石や貴金属を盗んでいた。   俗に云う墓荒らしだ。   だが、彼らを見くびってはいけない。 彼らは教会の中に安置された棺桶からも盗みを働いていたのだ。 今程セキュリティは厳しくはなかっただろうが、やはり正面から堂々と盗みには、よっぽどの準備をしているか、教会を熟知しているかのどちらかだ。  俺は地下4階の奥、ちょうど教会の裏口の真下くらいにある穴の前で足を止めた。   「そろそろ行く、状況報告よろしくな~」   弾いたピアスは小型の無線。   「ああ。早く来い。一人撃たれて生死が判らん。人質も暴行された。」   珍しく、あの飄々とした情報屋が怒ってやがる。 早くせにゃ縁切られるな。   俺は穴に納めてある骨に手を伸ばした。   .
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