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出口へと『血まみれの天使』の部隊長は急いでいた。
心配していた微かな違和感。それが今、殺気となって教会中に充満していた。
「明らかに私のミスですね…」
そう言って、唇を噛み締める。
命令されたとはいえ、護衛すべき者から離れるのは気が引ける。
「早く連絡をとらねばなりませんが………」
早い歩調で歩いていたが、前方に立ち塞がる者達が見え、スピードを緩める。
「そうさせてくれそうに無いですねぇ……」
溜め息混じりに呟き、素早く人数を数える。
全部で五人。
武装しており、全員が銃を所持していた。
「そこのお前、止まれ!さもなければ撃つぞ!」
銃口を向けられるが、部隊長は怯みもしない。
「私は『お前』ではないのですがねぇ」
緩やかなスピードで近付いて行く。
「と、止まりやがれ!この野郎ッ!」
部隊長はニコリと、歩みはそのままで笑みを浮かべた。
「私、総指揮官直属戦闘部隊『血まみれの天使』の部隊長ジールと申します。お前でも、この野郎でもありませんよ?」
言い終わると同時に、ジールは床を蹴っていた。
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