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姿勢を低くし、間合いを瞬時に詰める。
ジールは男性の中でも、長身の方だ。
その長身が、想像以上の早さで間合いを詰めて来た事に、立ち塞がる者達は怯んだ。
ジールは正面の男の鳩尾に体重を乗せた拳を叩き込み、その拳を横に振り、その先に居た者の頬に痛烈な裏拳を喰らわせた。
鳩尾に拳を喰らった者は軽く飛ばされ、壁に激突し気絶した。
裏拳を喰らった者はたたらを踏み、背中をジールに向けてしまっていたが、裏拳の衝撃によって、眩暈を起こしており、気付いていない。
その項に手刀を叩き込み、意識を消失させる。
「まずは二人」
呟くジールは動きを止めない。
続けざまに二人を倒され、残った三人はいきり立った。
だが、装備しているのはサブマシンガン。こうも近距離では撃てるものも撃てない。
「ハッ!」
短い呼息と共に、ジールはハイキックを放ち、また一人陥落させる。
残った二人はサブマシンガンを鈍器に用途を変更したようだった。
片足で不安定なジールにここぞとばかりに襲い掛かる。
だが、横殴りの一閃は空をきった。
ジールは軸足を軽くたわめるだけで跳躍、殴り掛かって来た男の背後に着地し、男を羽交い締めにすると、首を折った。
「さ、貴方で最後ですよ?」
ジールはにこやかに最後の一人に言うと、間合いを詰め、後頭部を掴むと床に叩きつけた。
「……無駄に時間を喰いましたね。急ぎましょうか」
倒れる五人を尻目に、ジールは先を急ぐ為、歩を進めた。
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