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「き…貴様は!!」
「はい、ど~も。死神で~す」
格子の破片を踏み越え、俺は神父の前に立った。
光を反射する銀髪、深淵のような菫色の鋭い瞳。右耳の十字架のピアスに左耳に並んだ3つの銀環。
それが俺、『銀の死神』シドの特徴だ。
「クソッ!」
神父は、素早く懐から、それを取り出した。
が、あっさり俺が神父の手を蹴り、骨を砕く。
「ダメだろう?こんな昼間っから俺みたいな消音器(サイレンサー)も無しに銃ぶっ放しちゃあ。用意は周到にな、『片翼の堕天使』の一員さん」
ギリギリと蹴り砕いた手を踏みにじりながら、俺は消音器を装着した銃を、神父の眉間にポイントする。
「さぁ、幹部の居場所を吐け。もしくは、計画を吐け」
「…ぅうっ……」
踏みにじられている手の激痛もある所為か、神父は弱々しく言った。
「あの方は貴様のような輩に殺られたりはしない…地獄に落ちるのはきさ「ざぁんねん、不正解」
俺は神父の下顎を蹴り上げ、髪を鷲掴みにして、視線を合わせた。
「答える答えないは勝手だぜ?もう一度訊く。奴は何処で、計画は何だ?」
銃口で血に染まった下顎を押し上げる。
「…ッガ、ぐぅ……」
「……そうか。判った」
下顎を砕かれ、更に銃口で押し上げられては発言したくとも出来ないのは道理だ。
それでも俺は、判ったと言って、神父を離し、くるりと背を向け、スタスタと歩き出した。
「……ッ」
それを油断と思った神父は無事な片手で銃を拾うと、銃口を俺へとポイントした。
しかし、銃口が火を噴く事はなかった。
「言ったろ?消音器無しで撃つなって」
俺は神父の背後に廻っていた。
後頭部に銃口を当て、ゆっくりと引き金を引いた。
鈍く小さな銃声が懺悔室に響き、神父の額からは、脳漿と血が溢れ、床に汚らしい染みを作った。
「さて、どうしたもんかねぇ……」
死体を跨ぎ、出口へ向かう。
発言とは正反対の、笑みを浮かべ、俺は教会を後にした。
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