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「……」
銃口が一斉にこちらを向くが、俺は一向に気にしない。
「銃口下ろした方がいいぜ?あんたらは殺すな、て命令なんだろ?俺は撃って来ても一向に構わないが、困るのはコイツと依頼人の体裁だな」
暫く、張り詰めた沈黙が流れた。
「お前達、銃を下ろせ」
先に沈黙を破ったのは、俺に銃口を突き付けられたダークスーツだった。
「君も銃口を下ろしたまえ」
「……あんたの手に持ってるヤツをどうにかしたら、な」
俺には死角に当たる所に、ダークスーツは掌サイズの銃を構えていた。
「……」
ダークスーツは観念したように、銃を仕舞うと両手を上げた。
「一つだけ訊こう、何故こうなることを判っていた?」
「まず、こんな無機質な部屋だが、家具が無い。それに、壁に床。何度か塗り替えた跡がある」
銃口を下ろしながら俺は答える。
「何より、あんた自身殺気を隠しきれてなかったからな」
ダークスーツは面白い、と云う表情で俺の言葉を聞いていた。
「素晴らしい、合格だ」
負傷者も含め、ダークスーツを不愉快そうに見る。
それを気にする事なく、満面の笑みでダークスーツは言った。
「負傷者は帰って頂こう。今日一日だけの報酬は支払うから、心配なさらずに。無傷の者達はこちらへ」
扉が開かれ、俺を含めた無傷の者達がダークスーツの後に続いた。
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