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そこで遺産相続の件で相談してた弁護士に、その事を話してみたんだよ。
「お母さん幾つになられるんですか?」
「今年で八十ですけど、それがなにか」
「ああ、ではこの話はここらで止めにしときましょう。流石にそのお年で刑務所に入るなんて、息子さんとしてもお心苦しいでしょう?」
だってさ。まあ確固たる物証があるわけでもないから、俺もそこで諦めたんだけど。最後に弁護士が言った言葉が耳に残っててな。
「ああ、よくある話なんですよ。老夫婦が相手を殺したけど、どうしたらいいかって相談」
お前も年取ったら気を付けろよ?お前が殺すか、殺されるかは分からないけどな。
え?爺さんの死に方が異常なのは分かったけど、それだけかって?
いやいや。まだあるにはある。
これは俺の叔父の話なんだけど、死因は心臓発作だったんだが。嫁とは別れて、娘とも別居中の一人暮らし。そうなれば必然的に死体の発見も遅れるだろ。様子を見に来た娘が発見した時には、もう死後三日を過ぎててな。チャイムを押しても返事はないし、部屋の中にも見当たらない。不思議に思っていると便所の電気は煌々と光っている。近付くにつれて吐き気を催す臭いがしてくる。恐る恐る扉を開いてみれば、便座に座って死んでいる親父を発見したそうだ。
しかも時期は真夏。臭いは言わずもがな腐乱した死体の臭い。おまけには何処から湧くのか、蠅や蛆まで顔を出してる始末。想像しただけでかなりキツイだろ?
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