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驚いた。
驚いた。
今度は僕が目を丸くしてしまった。
これは、何と言うか……
プロポーズ……なのか?
「……って、言うと…みんなに殺されるから、無かったことにしといてください」
顔を真っ赤にして、必死に僕から見えないように俯いている。
だけど、耳まで赤くなっている。
なんだ、この可愛い子は。
僕が知っている宮澤由雨という女の子は、クールで、いつも一歩離れたところから客観的に周りを見る子で、こんな、いかにもな乙女ではない。
……失礼。
あまりにも唐突な出来事だったから、僕も冷静になれないというか。
そんな彼女だから、その告白が「安売りの好き」でないことが分かる。
分かってしまうから、冷静でいられない。
二人きりの研究室で、大学自体も今は春休み中だ。
逃げることが出来ない。
だけど、逃げるつもりは最初からない。
先生と生徒と言っても、根本には人間と人間だ。
それでも僕は彼女に応えられる立場の人間ではないことも確かで。
「じゃあ……ホワイトデーに飲みに行こうか、二人で。…あ、お酒なんてホワイトデーには相応しくないかな?」
僕が提案すると、彼女は勢い良く顔を上げた。
すごく嬉しそうな笑顔をしている。
「お酒好き!」
……それは、僕よりもかな?
宮澤さん。
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