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どれだけ悩んでも、キッチンの中にいるプロ二人には敵う訳も無い。 今待つべきは、試作品の出来上がりだ。 「……荒木さん。これ、どう思います?」 「…想像から掛け離れたような…そうじゃないような…」 キッチン内からうめき声が聞こえて、暇つぶしにエプロンを何度も折り畳み直していた私は手を止め、キッチンを覗いた。 店長と孝祐くんの前には、大きなかき氷。 ……かき氷? 小さな氷山みたいなものが、存在感を主張していた。 二人は腕を組んで「うーん」と唸る。 今日の試作品は失敗に終わったようだ。 私が帰り支度を始めると、孝祐くんは捲った袖を戻してホールに戻ってくる。 ネクタイを鞄に押し込み、ジャケットを羽織る。 「また考え直して来ますよ、荒木さん」 「…片付けは俺に押し付けるのか」 店長の冷たい目を孝祐くんは爽やかな微笑で跳ね返す。 「…店長、お先に失礼します」 微妙な空気の中帰宅しようとする私の心情は、まさに複雑だった。
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