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少し遅れて孝祐くんも外に出て来た。 新作スイーツの考案なんて、本当はただの口実だ。 今みたいに中途半端に試作品を投げ出して、私を送ってくれている。 逆を言えば、私を迎えに来てくれた孝祐くんを店長が半ば強引に新作を考えさせているのだ。 私は一人でも大丈夫だと言っているのだけど、孝祐くんはさっき店長にしたような爽やかスマイルで無視をする。 ……一緒にいられて嬉しいのは否定しきれないんだけども。 「喫茶店って、楽しいな」 夜空に向かって腕を上げて伸びをしながら孝祐くんは言う。 「他の喫茶店じゃ、ここまで楽しくないと思うよ」 だから店長は、私だけしかバイトを雇っていないのではないかと、最近になって思う。 人数が多くては、今のような楽しさは得られなかった。 「そうかもな」 そして孝祐くんは、空に伸ばした手を私の肩に置き、そのまま引き寄せる。 「…痛い」 孝祐くんの肩に、私の鼻が激突。 それでも尚、孝祐くんは私を強く抱きしめる。 「あーもう、あーもう、あーもう!!」 言う度に強く締め付けられて、私は苦しくて「離して」と言いたいのだけど、「もごもご」という言葉にもならない鳴き声のようなものしか聞こえない。
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