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だけど、孝祐くんは私を持ち上げるでもなく、押さえ付けるでもなく、髪をわしゃわしゃと乱暴に撫でた。
………髪が乱れた。
反撃というのは、いついかなる場合でも油断してはならない。
「氷里が近くにいるから、頑張れるんだよ」
不意打ちにも、油断してはならない。
「………好きだよ、氷里」
「……ありがとうございます」
私からは恥ずかしくて滅多に言わないけれど、
孝祐くんが大好きです。
気持ちは声に出していないのに、恥ずかしさから孝祐くんの肩に顔を自ら埋める。
「…………ねぇ、バニラさん?」
「何ですか、お兄さん?」
「キスがしたいです」
「いたしません」
私たち、付き合い始めています。
END
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