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彼が六歳のある日、彼は両祖父母夫婦と共に遊園地に来ていた。
両祖父母夫婦は、彼に両親の分までたくさんの愛情を注ぎ、例え両親がいなくても、自分達が彼を幸せにしてあげたいと考え、彼を遊園地に連れてきていた。
「おじいちゃん、おばあちゃん!本当にどれに乗ってもいいの!?」
「ああ、そうだよシン。今日一日おじいちゃん達と一緒にたくさんまわろうね?」
「うん!」
彼は初めてみる遊園地に目を輝かせながら、その後一日をかけてほとんどのアトラクションを制覇した。
ちなみ身長が足りず、ジェットコースターに乗れずに駄々をこねたのは余談である。
―――
遊園地を満喫し、帰ろうとした矢先、両祖父母夫婦は彼の姿が自分達の近くに無いことに気付き、各祖父母夫婦に分かれて辺りを捜していると、母方の祖父母夫婦が百メートル程先に彼が立っているのを見つけた。
「シンーーー!」
「シンちゃーーーん!」
祖父母夫婦が声をはりあげて彼の名前を叫ぶと、それに気付いた彼はこちらに向かって走りだした。
ただこれだけだったらなんらおかしくは無いだろう。
この時、祖父母夫婦は彼の異端の一部を目撃する。
「おじいちゃんーー!おばあちゃんーーー!」
彼はそう叫びながら祖父母のもとへ走った。
しかし、彼の速さは異常だった。
百メートル程あった距離を大人顔負けの速さで走り、祖父母のもとへたどり着いたのだった。
その異常な光景に驚き、絶句している祖父母夫婦に彼は満面の笑みでみつめていた。
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