占い。

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<side/Inoue> 俺は朝、いつものように食パンをかじりつつ、ついてるテレビをなんとなく眺めていた。 そして朝のニュースというのはとある時間になると一斉にあれを始める。 『一位は魚座の人!!今日は人付き合いが上手くいきそう♪ラッキーアイテムは赤いマフラー☆』 そう、占い。 「ふーん‥」 特に占いを信じるようなタチやないんやけど、やっぱり一位ってなるとちょっと嬉しかったりはするわけで。 ‥赤いマフラー、持っとったな。 なんとなく気分も良くなりラッキーアイテムなんぞを身につけてみようかとも思ったりするわけで。 俺は朝からごそごそとクローゼットから久しく見てなかった赤いマフラーを引っ張り出した。 まぁ、ほら、ええことあるかもしれんって言うんやからつけてても損はないし? 今日特に寒いし、マフラーつけてたらあったかいし。 誰に言うでもなく、ただひたすら自分に言い訳しながらそのマフラーをつけて俺は仕事へ向かった。 「「‥‥あ」」 楽屋の前でばったり出会った相方。 自然と目が行くんはその首に巻かれてる赤いマフラー。お互いに普段は赤なんかあんまりつけへんことは知っとる。 やから、多分向こうも思ったはず。 ‥こいつ朝占い見たな。 誕生月はちゃうから普段はあんまり思わんけど、俺と相方‥石田の誕生日は案外近いわけで。 実は星座が一緒やー、なんて普段は忘れがちな共通点。 「‥おはよう」 「‥おう」 どうしたもんかと思いつつ、俺は口にすることにする。 そう決めて口を開けた瞬間に向こうの口も開いた。 ‥あ、ハモる。 「「‥今朝占い見た?」」 ほらみろ、アホ。 *end*
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