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<side/Inoue>
──2月28日
「あぁー、今日の仕事疲れた!!」
「んなこと叫ばれても」
今日は結構な仕事数の上に移動が遠いし多いし大変やった。
ありがたいことやねんけどね。
「知ってた?あと一本ロケ入ってんねんで」
「知らんわけないやろぉー‥」
そうやねん、しかもまだ終わってないねん。これは余裕で0時回るな。
‥アカン、もう眠い。
「石田ぁ、次の時間まで俺寝てていい?」
「えぇー、寝んの?ってかそんなん言うけど一時間もないで?」
「ええねん、おやすみ」
「ちょ、まだ寝てええって言うてないし!!俺も寝たいし!!」
早いもん勝ちや、て言おうと思ったけど思ったより眠たくて口が動かんかったから言うんを止めた。
一時間後、石田に起こされて、案の定深夜ロケになって、楽屋に戻ったんは夜中の2時を回ってた。
石田も相当疲れたんかさっさと荷物まとめてるし。今は飲み物でも買いに行ったんかおらんけど。
アカン疲れた。俺も早よ帰ろ。
ふと、時計の時間と一緒に表示される日付を見て思い出した。
3月1日。
そういや、今日俺の誕生日やったなぁ。忙しすぎて忘れとった。
2月ってなんか急に終わるし。
そんな祝う年でもないし、コンビニでケーキでも買って帰ろかなぁ。むなしい?ほっとけや。
そんなことを思いつつ帰る支度をしていると、コンコンッとドアが叩かれる音がして俺は振り向いた。
「井上サン」
入り口で立ってる石田の人差し指にかかってる白い箱。
「ケーキ、食べます?」
「‥俺、チーズケーキな!!」
ありがとう、石田。
*end*
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