帰巣本能。

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「ほんま、お前が来たん深夜やったし。あんな時間までよぉ飲むわ」 「昨日はなんか調子良かってんなぁ。覚えてる最後の記憶の時点で相当飲んでたし‥」 あれからまだ死ぬほど飲んでー、ベロベロになったんやろなぁ。 そういや行きはタクシーで行ったけどどうやって戻ってきたんやろ。 明日誰かに聞いてみなあかんなぁー。 「そんな状態でよぉ来れたな」 俺の話を聞いてた井上が炬燵にもぐりながらテレビをつけた。 「帰巣本能は強いねん」 「いや、自分んち帰れてないし」 「アホかちゃんと帰ってきたわ」 コーヒーカップをふたつ机に置いた。 ふたつ入れてたんが意外やったんか一瞬、俺を見上げる井上。 その右に並んで座り、炬燵に足を突っ込む。 そこは井上の右隣。 「俺の場所はここやもん」 テレビ画面を見てた井上の顔がこっちを向いた。 「‥‥まぁ」 コーヒーカップを持って、その顔がまたテレビの方に向けられる。 「そう思っていただけてんねやったらありがたいけど」 「ふふ、せやろせやろ」 コーヒーに口をつける。 自分で入れたインスタントのコーヒーやけど、あったかくておいしかった。 *end*
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