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「じゃあ次はい」
「‥小籠包」
「一個は中身がタバスコ」
「阿呆ちゃうか!!」
小籠包て中身が半分液体やったはず。あれが全部タバスコやったら熱い×辛い=痛いになんのは目に見えてる。
「一個やろ‥」
目の前の小籠包は五個。真ん中の一個をつまんで口にいれる。口の中で熱い液体が広がって‥
「酸っぱぁ!!?!」
「一個はタバスコ、あとはからし、食塩、水飴、食酢でしたー」
苦手とかそういう問題ちゃうやろ!!いくら先輩でもぶっ飛ばすぞこの免許!!
「貴ちゃん、石田がいくら先輩でもぶっ飛ばすぞこの免許!!みたいな顔してる」
「ほんまや」
あっれ読まれた!?井本さんほんまや、て分かんの!?ライセンス怖っ!!
「そんなお前にこれ!!」
べしゃっという音と共に顔に何かがへばりついた。
目のとこだけ開けると梶原が腕を振り切った状態で笑ってた。
「お前パイ投げはあかんわ!!」
「はっはっは、2008年の恨み!!」
「まだゆーてますのアンタ!?」
思わず井上が突っ込むぐらいしつこいなこの同期は。
いや、あえて言おう。8位と!!
「石田お前8位ゆーたやろ!!」
「あれぇなんでバレんの!?てかゆーてない!!思ただけや!!」
叩かれた頭を押さえながら言うとさっきの殺人小籠包が飛んできた。
「あああ熱っあっつ!!」
「思うなや!!」
「一位で悪かったのぉ!!」
ヤケクソで叫んだ口になんか固いもんが突っ込まれた。
──瓶!?
「うぇっ、ちょ、何やの!?」
「誕生日おめでとさん石田!!」
前を向いたとき、目の前にズラリと並べられていたのは6本の酒瓶だった。
「いやあ、石田の誕生日やゆーてみんな酒持ってきたから普通に渡すのもおもんないなぁて話になってな‥って」
徳井さんの話は普通なら感謝感謝のありがたい話なのだが、残念ながら話の7割は飛んでいた。
「い、石田‥?」
「はいぃ?」
「完全に酔うてますねコイツ」
「さっきの酒福田のめっちゃキツいやつか!!」
「半分イッキの勢いやったもんな」
「井上、あと頼んだ」
「え!?あ、ちょ‥」
意識の遠くで扉の閉まる音。
誰かの溜め息。
「‥誕生日おめでとう石田」
目が覚めたとき、いただいた6本とはまた別に、俺が一番好きな銘柄の酒が机に置かれていた。
*end*
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