0人が本棚に入れています
本棚に追加
とある町、とある一角、とあるゴミ収集場所
そこには、黒いモヤが立ちこめていた。
目に見えるほど濃いそのモヤは、意志があるかのようにしばらく漂うと、一カ所へ収束していった。
吸い込まれるように、抱えるほどの大きさがある少女の人形へと。
強い風が吹き、ススキを強く揺らす。その風がゴミの間を吹き抜けるとき、風は複雑にうなり、濁った音を作った。
ユルサナイ・・・
とあるマンションの一室、もう23時も過ぎたというのに電話が鳴り響いた。普通の人間なら日を改めるだろう。
その一室の主は、心遣いの足りない電話の主にいらだちながら受話器をとった。
「もしもし?」
「もしもし?」
「ちょっと、イタズラならやめてください。何時だと、」
「もしもし・・・私メリーさん。今、ゴミ捨て場にいるの・・・今から行くから待って」
ガチャッツーッツーッ
「なんなのよ、もう。時代が古いっつーの!」
最初のコメントを投稿しよう!