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それから10分後、再び、電話が鳴り響いた。
「もしもし?」
「もしもし?」
「本当に、なんなんですか!」
「私、メリーさん。今、道路を渡ったわ。」
「そう、ここら辺、一時停止しない車が多いから気をつけるのね。」
ガチャンッ
今度は叩き付けるように電話を切った。
さらに10分後、電話が鳴った。
「しつこい!」
「私、メリーさん。今、あなたのマンションの前にい」
ツーッツーッ
デジタル時計がピッとだけ、短く鳴り23時30分を告げた。
電話はかかってこない。それはそうだろうと住人は鼻で笑うのだった。
その時、ピンポーンとチャイムがなった。
こんな時間に誰だろうとインターホンをとる。だが、モニターには何も映っておらず、手に持つ受話器からも何も聞こえてこない。
いや、
「私、メリーさん。今、アナタの後ろブフッ」
「そう、後ろにいるの・・・ふふ。」
受話器を置いた住人が後ろを振り向くと、そこには金髪の少女の人形が腹を抱えてうずくまっている所だった。うずくまった頭から落ちた白い帽子には、クッキリとタイヤの跡がついていた。
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