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「ちょっちょっと待って、今のはキツかったわ。」
「あなたね?さっきから性格の悪いイタズラをしてきたのは・・・」
「い、いや、イタズラって言うか捨てられた恨みって言うか・・・」
「問答無用!」
「ヒィッ」
少女の人形がビクッと体をすくめる。だが、手はまだ腹を抱えたままだ。どうやら、1発目のかかとが腹に深く入ったらしい。
「アンタね、今日はやっと早く帰ってこれて、やっとDVDが観れる日だったのよ・・・。それなのにつまらない邪魔をしてくれて、感動も何もあったもんじゃないわ。」
「さ、最期、電話のコード抜いたでしょ・・・電話がもう全然通じなくて」
「当然の対処よ。」
「普通、人形が動いてきたら。驚くのが普通の反応だと思うんですけど・・・。」
もうすでに敬語である・・・。
「人形だろうが犬だろうが、邪魔なのは邪魔なのよ。分かる!?」
ビクッ
「本当にスイマセンでした。ちょっと、私も捨てられてイラついてたというか・・・。」
「使わない物をいつまでも取っておいても片づかないでしょうが。アンタを置いておいてなにか良い事あるの!?」
「いや、実益は無くても、飾っておいたら可愛いなとか・・・。」
「アンタ、私がいくつに見えるの?あん?」
「さん、ブフッ!」「そのエナメル質の髪に火をつけてヒューマントーチにしてやろうか?」
「スイマセンでした・・・火をつけて投げるのは勘弁してください。」
「たかが塩ビの体して、いつまでもうずくまってるんじゃない!」
「いや、2発目はホントにきついっす・・・。」
「アンタがいても、邪魔なだけなの。動けるなら自分で飼い主を探すでも、元の場所に戻るでもしなさい!」
「飼い主っていうか・・・」
「デ・テ・イ・キ・ナ・サ・イ。2回は言わないわよ。すぐに出なければ私はライターとキンチョールに物を言わせるしか無くなるわ。」
「勘弁してください!本当におじゃましました!」
人形は腰から90℃頭を下げるとダッシュで外へと飛び出していった。
「ったく!2本目はどれを観ようかしら。」
こうして闇に消えていったメリーさん・・・。
もしかしたら今夜、あなたへ電話してくるかも知れませんよ?
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