序章

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「悪かったよ、奉先」 「…………」 あれからなんとか離れてもらえたが今度は字で呼ばれなかったことに拗ねてしまった。 そして今は丁原殿に呼ばれて謁見の間に向かっている途中だ。 「奉先、許してくれよ」 「……………」 ――参ったな……久しぶりに逆鱗に触れた感じか? 「……ねぇ?」 突然前を歩いていた奉先が立ち止まって話し掛けてきた。 「公台は、その、ああいう事人前でされるのは嫌?」 ――普通に嫌だろ、しかも伝令とはいえ女だったんだぞ?恥ずかしいに決まってる!!……って言ったらまた機嫌を損ねちまう 「普通なら嫌だが……奉先となら別に気にならない」 ――昔からの付き合いだから分かるがとりあえず奉先を特別扱いしてれば機嫌は直る。 「そ、そっか~、奉先となら、か~……いいよ、特別に許してあげる」 ――やっぱりな 「あっ、ほら着いたよ!公台」 俺達の前に謁見の間へと繋がる少し大きめの扉が姿を現す。 「何回来ても緊張するなぁ」 「奉先はもう慣れたよ?」 ――お前は殿に何も言われないからだ
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