恋に、落ちたの。

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まだ眠気が抜けていない頭のまま、先生に頼まれた雑用をこなす。 あとはこのプリントの束を職員室に…… プリントを落とさないようにバランスをとることへ意識を集中させていた私は、廊下の曲がり角から誰かが曲がってくるなんて気付かず、そのまま衝突してしまう。 「っ…きゃ!?」 ぶつかった衝撃に押され、床に体ごと投げ出される。 「いたた…」 尻餅をついてジンジンするお尻を擦り、落ちてしまったプリントを集めながら、ぶつかった相手に頭を下げる。 「す、すみません…!私の不注意で…」 「いや、俺の方こそボンヤリしていたせいで…」 ぶつかってしまった相手の方もプリントを拾うのを手伝ってくれていることに気付いて申し訳ない気持ちになる。 ふと顔を上げると、目の前に迫った綺麗な顔。 わぁ……かっこいい…。 「見かけない顔だな…。1年生か?」 「あ、はい…!」 白衣を身に纏っているということは、きっと教師なのだろう。 「俺は化学担当の水城湊だ。よろしくな」 拾いきったプリントを私に手渡しながら無表情のまま自己紹介をされる。 「あ…私、1年の瀬戸椎蘭です」 条件反射で私も自己紹介をする。彼……水城先生は私の頭をグシャグシャに撫で、 「今度からはちゃんと前見て歩けよ」 と言うと、そのまま私に背を向けて歩いていってしまった。
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