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「……なんか俺…邪魔みたいだから先に帰るね~…」
初海が苦笑いしながら俺たちに背を向けて帰っていった。
「…っ…私も帰りますね。2人でいたら、周りに勘違いされるかもしれないですし…」
相川乃依は俯きがちに早口で言うと、2つに縛ってある黒い髪を靡かせながら走っていった。
初海が帰った意味ねぇじゃん。
と思いながらも、相川乃依の言った言葉一つ一つを思い浮べる。
アイツも俺と同じなのか。
好きな奴に振り向いてもらえない。
だけど、余計な期待なんて持たせたらダメなんだ。
俺はアイツを好きにはなれない。
俺は椎蘭が好きだから。
「……チッ」
舌打ちをしながら髪を掻き上げ、俺もさっさと家へ帰る。
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