俺の場合。

11/16

373人が本棚に入れています
本棚に追加
/96ページ
暫く相川乃依の行動を見ていると、コンビニ近くの電柱に額を付けてしゃがんでいる。 …何してんだ、アイツ。 周りから見れば、ただのアホ。 具合が悪いのか? 少し心配になり声をかけようとした瞬間、消え入りそうな震えた声で呟いた言葉が耳に届いた。 「……っ元カノのあの人に適うはずない…。どうしよ…黒田さんに…迷惑かけちゃったぁ…っ」 俺の体がガチッと固まる。 なんだよ、平気なフリしといて傷ついてんのかよ。 つーか何しようとしたんだ、俺は。 中途半端に優しくすれば、コイツを余計に傷つける。 だからって放っておくのか? 「…っ…」 悩んだ挙げ句、無言で相川乃依の腕を掴み立ち上がらせる。 「…っ…え?」 「何やってんだよ、中学生が。危ねぇだろ」 「く、ろだ…さん…?」 あー、やべぇ…。 涙目で上目遣いするなよな…。 男はそれに弱ぇんだから。
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

373人が本棚に入れています
本棚に追加