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「…いいんです。放っておいてください。どうせ私なんか襲う悪趣味な人、いませんよ」
自嘲気味に笑う相川乃依の腕を掴んだまま、無言で歩きだす。
「ちょっ…どこ行くんですかっ?」
「いいから着いてこい」
少し強めに言うと、すぐに抵抗をやめておとなしく着いてくる。
相川乃依を連れて辿り着いた場所は、公園。
ベンチに座らせて俺も隣に座る。
「…黒田さんって、俺様ってゆうか…強引ってゆうか…」
「そんな俺を好きになったのはお前だろ?」
「うっ…」
ほんのり赤く染まった頬に視線を奪われる。
ヤベ…。
自制できず、気が付けば紅潮した頬に唇を押し当てていた。
「……ふ…へ…?」
相川乃依のなんとも間抜けな声にハッとする。
「な…にを…っ」
顔がさらに赤みを増し、目も潤んでいる。
だから……んな顔すんなよな。
「…こっ、こうゆう軽いことしないでください!期待しちゃうんです!私は恋愛には慣れてないからっ…」
あー、もう。
ぐだぐた言うな、鬱陶しい。
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