俺の場合。

12/16

373人が本棚に入れています
本棚に追加
/96ページ
「…いいんです。放っておいてください。どうせ私なんか襲う悪趣味な人、いませんよ」 自嘲気味に笑う相川乃依の腕を掴んだまま、無言で歩きだす。 「ちょっ…どこ行くんですかっ?」 「いいから着いてこい」 少し強めに言うと、すぐに抵抗をやめておとなしく着いてくる。 相川乃依を連れて辿り着いた場所は、公園。 ベンチに座らせて俺も隣に座る。 「…黒田さんって、俺様ってゆうか…強引ってゆうか…」 「そんな俺を好きになったのはお前だろ?」 「うっ…」 ほんのり赤く染まった頬に視線を奪われる。 ヤベ…。 自制できず、気が付けば紅潮した頬に唇を押し当てていた。 「……ふ…へ…?」 相川乃依のなんとも間抜けな声にハッとする。 「な…にを…っ」 顔がさらに赤みを増し、目も潤んでいる。 だから……んな顔すんなよな。 「…こっ、こうゆう軽いことしないでください!期待しちゃうんです!私は恋愛には慣れてないからっ…」 あー、もう。 ぐだぐた言うな、鬱陶しい。
/96ページ

最初のコメントを投稿しよう!

373人が本棚に入れています
本棚に追加