秘密の時間 ＊番外編＊

幼なじみ。

小さい頃に約束した“ケッコン”

今となればそんな子供じみた約束はもう無効だ。

アイツはいつの間にか、勝手に１人で大人になっていきやがった。

『もう子供の頃とは違うんだよ？』

中学の時、椎蘭に言われた一言だ。

椎蘭が先輩に告白された、と友達から聞いて、なぜ教えてくれなかったのか問い詰めた時に、そう言われた。

…そうだな、子供の頃とはもう違う。

椎蘭だけ、一歩先を歩いていってる気がした。

置いていかれるのが嫌で、俺も彼女を作った。

結果、ただ虚しいだけ。

好きでもない女と付き合って、何も楽しくない。

椎蘭といる方が楽しい。

その時、初めて俺は椎蘭が好きだと自覚した。