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いつも開いているはずの教室の扉はなぜか閉まっていて、不思議に思いながら開けると、目の前が白でいっぱいになる。
「え」
なにこの白いの。
確認するように視線を上にあげると、水城先生が私を見下ろしている。
白いものは先生の白衣だったのか。
妙に納得しながら自分の席に行くために先生の横を通ろうとすると、手首を掴まれた。
「っ、なんですか先生」
不覚にも顔が赤くなる。
そんな私に、先生は呆れたように溜め息を吐いた。
「没収」
一言、そう言うと、先生は私の手からチョコの入った紙袋を取り上げた。
「あっ、何するんですか!返してください!」
「ダメだ。いくらバレンタインでも、菓子類を持ち込むのは校則で禁止されているからな。没収だ」
「えー…」
わざとらしく口を尖らせても、先生には効果なし。
ああ、だから今日はみんなのテンションが低いのか…。
明らかに落ち込む男子。
若干イラついてる女子。
あーあ。
先生にチョコ渡せなかったなぁ…。
渡せなかった、って言うより、渡せない、の方が合ってるか。
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