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悔しくなった私は、半ばヤケクソに、先生の肩を掴む。
「目は、閉じてくださいっ…」
「キス一つで何をそんなに緊張してんだよ」
笑いながら目を閉じる先生に、ドキッとする。
そして、顔が自分でもわかるほど赤く染まる。
先生が目閉じててよかったぁ…。
「じゃ、じゃあ失礼します!」
「ふはっ!なんだそれ」
「わ、笑わないでくださいよ!」
恥ずかしくなって肩から離そうとした私の手を、目を閉じたままの先生が掴んだ。
「え」
「逃げちゃダーメ。ちゃんとしなきゃ返してあげないよ」
「も、もういいです!返してくれなくても!ど、どうせそれ、先生にあげるチョコですし!」
吃りながら早口で捲し立てる私に、先生の目が開かれる。
「………俺?」
「……はい」
しばらく、見つめあった。
甘い雰囲気で、ふわふわしてる。
だけど、次の先生の言葉で雰囲気がぶち壊された。
「生徒からチョコは貰えねぇんだわ。ごめんな」
「えっ!?」
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