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「めーぐー!」
男のくせに甘い声を出して、目の前から走ってくる男。
私、野々村メグミの彼氏。
意図的にパンツが見えるほど下げられたズボン。
緩められたネクタイに、冬だってのに捲られた袖。
陽に当たって、さらに輝きを増す金髪。
「遅い」
「ごめん、ごめん!ちょっと呼び出されちゃって」
また告られたのか。
初海は軽い、からモテる。
それだけじゃなくて、チャラいし気さくだし、イケメンだから。
もともとタイプでもなかったし、どちらかと言えば嫌いだった。
椎蘭の元カレで、最低な奴だってことはわかっていたし、関わることもないだろうと思っていたけど…
初対面で口説かれた。
女なら誰でもいいような奴なんだろう、と思ってスルーしたけど、肩に手をおかれたからぶん殴った。
男は嫌いだ。
中学のとき、大和と付き合ったことがあるけど、友達の延長のようなもので、私はバスケに集中したかった。
だからすぐに別れた。
それからしばらくは誰とも付き合わなかったんだけど、椎蘭と同様に私も無理矢理初海に付き合わされた。
正直、うざかった。
否、現在進行形で。
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