ハッピーバレンタイン!

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屋上を後にして、その足で保健室へ行く。 あーもう、今日は授業サボろ。 やる気しねぇしなー。 池崎先生がいないから、勝手にベッドを借りる。 ボフッと飛び込めば、保健室独特の臭いがした。 「くっそぉー。今年は椎蘭からも義理チョコ貰えねぇし、彼女いるからって他の女子からも貰えねぇし」 枕に顔を埋めてグチグチ言ってると、後ろから足音。 「ふーん。椎ちゃんとか他の女の子から欲しいなら、私のはいらないんだ?」 その声にバッと振り返れば、ピンクの箱を持ったユズ。 「ユズ!」 「いらないなら、池崎先生にでもあげよっかなー。ユズ、実は池崎先生の隠れファンなんだよねー。大人で色気あって余裕な感じが堪んなくて」 「いらないわけねぇだろ!ユズのチョコ、どんだけ欲しかったと…」 「……冗談。嘘だよ。最初から大和にあげるために作ったんだから」 ニコニコと笑いながらチョコを差し出すユズに、俺の心は温かくなる。
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