過去と古傷と穏やかな癒し

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――――兼城高校 「なぁ。翼」 「なんだよ、太陽」 1年2組の教室で、太陽がオレに話しかけてきた。 オレと太陽はクラスが一緒で、そして机も隣という、なんだかとてつもなく気持ちの悪い関係にある。 太陽は自分の鞄から昼食であるパンをいくつか出していた。 今は昼休み。 男子バスケ部が使っている第2体育館で昼食を取るために向かおうとしている最中だ。 「いやさ、前に俺らが赤峰さんにスパルタやられた時あったろ?」 「あー、あったな。あとでやったけど、あの練習きつかったなー」 「だよなー。じゃなくて!あの時にいたのって誰なんだ?赤峰さんは知ってるっぽかったけど……」 ふむ。 そういえば太陽とかには乙樹のことを話してなかった気がするな。 この際だし、話しちまうか。 「あいつは赤瀬乙樹って言って、誠波大附属に通うオレのイトコだよ」 「へぇー、イトコかぁ。…………ってえぇぇ!!誠波大附属にイトコ?!」 「んだよ、うっせーな。そんなに騒ぐもんでもねーだろ。あ、オレ購買寄りたい」 「そんな呑気な……。いや、俺も購買は行くけども!」
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