過去と古傷と穏やかな癒し

5/23

35人が本棚に入れています
本棚に追加
/106ページ
「太陽」 「……なんだ」 未だにオレの言葉で落ち込んでいる太陽。 その落ち込んでいるバカにオレは話しかける。もしかしたら、この話題に食いつくかもしれないから。 「お前がオレよりも早く体育館に着いたら、オレのアメリカにいた頃の話を教えてやる」 「……アメリカ?」 あ。 やっぱ食いついた。 「あぁ。じじいからオレの過去を少し聞いたんだろ?それの続きだぜ?」 「…………」 オレの言葉に反応しながらも、太陽はまだ落ち込んでいる。 ちなみに。 太陽がオレの過去を聞いたのは、この兼城高校の校長からだ。 ここの校長はオレのじいちゃんで、ついこの間までマジで仲が悪かったのだが、今は昔のようにじじいがオレにべったりとなっている。 正直…………うざい。 とにかく、ちょっとしたじじいのぶっちゃけで、太陽にオレの過去が知られたんだ。 太陽は、さっきからちっとも動かない。 まるで屍のようだ……って遊んでる場合じゃねぇな。 昼休みが終わっちまう。 と、思った瞬間、オレの横を何かが通り抜けた。 それもものすごいスピードで。 「…………は?!」
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加