過去と古傷と穏やかな癒し

7/23

35人が本棚に入れています
本棚に追加
/106ページ
オレが第2体育館に着くと、玄関には太陽の外靴が綺麗に並べておいてあった。 体育館の中に入り、そっと覗いてみると、太陽がパンを食っていた。 ……いや待て、おかしいだろ。 あいつ……、ひとりでくってやがる。オレを置いて。なんて薄情な友人なんだ。 今日の部活でボッコボコにしてやろう。 とかなんとか 思っていると、一人でムシャムシャとパンを食っている太陽がオレに気づいて声をかけてきた。 「おーい、翼。バッシュ持ってお前も早く来いって」 「バッシュ?なんで?」 「昼飯食い終わったらバスケしようぜ?んで、バスケやりながら翼のアメリカにいた頃の話もってことで」 なるほど。太陽にしてはよく考えたもんだな。 「いぃーぜ?疲れすぎてお前が聴けなくなっても知らねーけどな」 そう言ってオレは朝練の時に置いておいたバッシュを、更衣室に取りに行った。 ――――――――― ―――――― ――― ズコー ズー ズコココココ うるせぇ。 ズコーだのズーだのズコココココとかいう音の原因は、オレではない。 あたりまえのように太陽だ。 ジュースを飲んでいるのだが、めちゃくちゃ五月蝿い。 どうにかならないもんか。
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加